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2015/6/3 WCW-F200Aの続行が危うい。

かつて、トヨタ クラウンのコマーシャルで、「いつかはクラウン」という名コピーがありましたが、それを覚えておられる年代のMMキットなどのオーナーさんの中では、「いつかはWCW」と、コンクリートハイブリッドスピーカー、WCWをオーディオ人生の最後に買いたい憧れのスピーカーとして、将来購入を検討されているお客様がおられます。

大変嬉しく光栄なことですが、事実、WCWを最後のスピーカーとして購入頂いた方から、「もう、オーディオに興味がなくなり、本屋に行ってもオーディオ誌を手に取らなくなった。音に不満がなくなったから」とか、「残りの人生に最高の伴侶を得たようだ」と、嬉しいご報告を頂いております。

コンクリートと樺集成材のハイブリッドのバックロードホーンは世界で唯一、当社でしか作れない斬新なスピーカーです。
製造方法も複雑で、工程数も多く、大学ノート3ページに渡って書き綴ったレシピを見ながらでないと作れません。
コンクリートの硬化時間もあり、月に1ペア位しか作れませんが、お蔭さまで常に受注の絶えることはありません。
    
初代のWCWにはアルテック409-8Eの20cmモデル、その後、アルニコマグネットのロイーネRE160の16cmユニット搭載のモデルも追加しました。

歯切れの良い音質のアルテックはジャズやポップスのお好きな方に。ロイーネはクラシック、特に室内弦楽奏のお好きな方に。
異なる音質の2機種から選べるようにしていました。

しかしその後、ロイーネ社の予期せぬ廃業でRE160が入手できなくなり、その数年後にはアルテック社も無くなり、409-8Eも生産中止になりました。

ロイーネ160Rが入手できなくなった時は大変ショックでした。これでチェロの音を聴くと、泣きたくなるような悲しい気持ちになり、女性ボーカルの声に何とも言えない艶、色気を感じさせる。荒い音が魅力のアルテックが男性的な音と言うなら、こちらは色気漂う、しなやかな女性の雰囲気のするユニットでした。
鳴らす曲をロイーネが勝手に編曲するみたいな感じで、演奏に濃淡、フェントを掛けてくるような、大変魅力的なユニットでした。

その会社は東京大田区にあって、ご夫婦2人の経営で、フォステクスから独立された社長がフォステクスの協力工場を借りて、アルニコとフェライトの16cmユニット、フェライトの20cm同軸2Wayの3機種のみを製造されていました。

廃業された理由は、コーン紙を製造していた工場が突然閉鎖したため(フォステクスの海外生産化のためか?)でした。

私は何度も会社を止めないでほしいと嘆願し、「コーン紙だったら中国に作らせれば良いではないですか?」と言いましたが、「コーン紙はユニットの命です。これを完成させるのにどれだけ苦労したことか。こんなの中国では作れない。私たちだって止めたくないです。ここまで育てた商品が我が子のように可愛い。悔しくてしょうがない。しかし、私たちも歳なので諦めて、これからはゆっくり隠居生活を楽しみたい」と、やはり廃業を決められ、WCWに大変相性の良い貴重なユニットが消えてしまいました。

そこで、国産では唯一のアルニコを使った20cmフルレンジユニット、フォステクスF200Aを後継機にして、1機種だけの販売で現在に至っています。
ロイーネほどの個性はありませんが、やはりアルニコマグネット。弦楽器やボーカルのきめの細かさ、艶やかさはアルニコならではの音質です。

1本4万円以上する高級なユニットなので、そんなに数は売れていないだろうから、いつ廃盤の対象になるか解らない。
過去に一度、製造中止のうわさを耳にし、直接メーカーに電話して確かめましたが、今後も廃盤の予定はないと言われて安心しておりました。

しかし、2か月ほど前、そのユニットが突然製造中止になり入手できなくなりました。すでに注文を頂いていたお客様のBOXが完成したのに、装着するユニットが用意できず、その方にはご了承の上、当社の試聴機で使っていた中古のユニットで納品させて頂き何とかなりましたが、その後にオーダーを頂いた方のユニットが手配できない状況です。
(続く)