MM191T Audio Nirvana classic 8”も我が家のオーディオルームに馴染んできて、
ある程度聞き込むことができましたので、その感想を書きます。
一聴してスケールが大きく、ハードでダイナミックなサウンドで、
私が期待していたバックロードホーンの音です。
その上、Audio Nirvanaが大変魅力的なユニットなので、
私が聞いてきた自作バックロードを、上回っている部分がかなりあると感じました。
私は若い頃より自作バックロードで、ジャズ・ロックを聞いてきましたが、
年齢とともに海外製スピーカーでクラシックを聴くことが多くなりました。
それはコンサートに行く機会が増え、
あのコンサート会場の音を自宅で再現したいと考えた結果でした。
最近昔のジャズ・ロックが良い音にリマスターされ、レコードでも販売されるようになり、
昔のレコードを聴くことも増えて、
もう一度本格的なバックロードホーンを聞きたいと思いました。
しかし昔のように全て自作する体力はないので、
ハセヒロバックロードホーンが適当に思え、試聴させて頂きました。
実際に聞いてみて、素直にクセなく伸びている低音が好印象で、
曲線によるホーンロードの効果かという気がし、購入を決断しました。
取り付けるユニットはジャズ、ロックをメインに考え、Audio Nirvana classic 8” にし、
エンクロージャーはスケールの大きな音にしたくて、最も大きなMM-191Tとしたのです。
届いた製品を持ってみて、組み立てたものを2階に持ち上げるのは不可能と断念。
小分けにして2階に上げ、上で組み立てることにしました。
しかしこの重さがハセヒロバックロードを選んだ理由の一つで、音に確実に効いてくるはずです。
組み立ては1日でできましたが、
やはり自作は体力的に無理、キットにして良かったと痛感しました。
完成したMM-191T Audio Nirvana classic 8” は、
タンノイのターンベリーとAnthony Gallo の Reference 3.5 と同居してもらいましたたが、
写真のようにぎりぎり何とか入ったという状態で、これ以上は何も入らないでしょう。
タンノイは古い録音の再生中心ですが、他には得られない音を出してくれます。
大きなエンクロージャーから部屋いっぱいにきれいな音を撒き散らし、
部屋全体が楽器になったようなすごい低音が出ます。
Anthony Galloの5chサラウンドに、FE-83Enの4chを足した9chサラウンドは、
AV と新しい録音中心で、かなりリアルにコンサート会場の音を再現してくれます。
低音専用のアンプがあり、スーパーウーファー並みの低音が出ます。
MM191T Audio Nirvana classic 8”はスケール感で他の2セットに負けていません。
この雄大な鳴り方は大型のバックロードホーンでないと、なかなか味わえない音だと思います。
能率が高く、おそらく95dB以上あるのではないでしょうか。
ジャズピアノが大変リアルで美しく鳴ります。
ギター、サックス、トランペットも近くで聴いている印象を持ちます。
ベースは力強く、ローエンドが良く伸びています。
評判通りドラムのスネアとシンバルが良く鳴り、まさしく生演奏の雰囲気です。
ジャズではあまり気になりませんでしたが、ロックを聴くと高音がうるさく、
ハイを絞りローをブーストしてちょうど良い感じになりました。
そうすると俄然大迫力になり、ドラムのリアルな質感がすごいです。
ギターはAudio Nirvanaに最も合っている感じで本物らしく、ボーカルもきれいです。
何と言っても、全体的に音が押し寄せてくる圧力と迫力は、
実際に聴いてみないと分からないかもしれません。
このようなスピーカーを市販品で手に入れることは困難でしょう。
これで今回スピーカーを導入した目的は、ほぼ達成されたと言って良いかもしれません。
試しにクラシックを聴いてみました。
今回の目的はジャズ・ロックなので期待していませんでしたが、
クラシックも同じく大変リアルな鳴り方をしてくれます。
低音楽器群が良く聞こえるので、オーケストラは大迫力です。
弦の響きが美しく、クラシックではやや人工的な感じもするのですが、
それでもリアルな雰囲気には魅力を感じます。
ピアノのスケール感が良く表現され、弱音も美しいです。
バイオリン、管楽器、声楽、合唱などがやはり生で聴いている感じです。
音場は広いのですが、クラシックを聴く場合は間接音が不足です。
サラウンドにしていないのですから、しょうがないです。
また音が混み合ってくると、特に中低域が分解しきれていません。
この辺は中低域の迫力と相反する関係にあるようです。
低音はハセヒロバックロードホーンの最大のポイントだと思いますが、
ズンズン、ドスンという低音ではなく、ハイスピードの低音です。
ハイスピードという言葉は最近は余り使われないかもしれませんが、
音の立ち上がり、立ち下がりが良く、すっと出てすっと消えていく低音です。
バックロードホーンは低音が出すぎる場合もあるのですが、
このスピーカーは量感を控えめにして、ダンピング良く再生限界を伸ばした感じです。
Audio Nirvanaもハイスピードなユニットなので良く合っています。
もっとも組み合わせたアンプがマッキントッシュの真空管プリメインなので、
厚みのある中低音がMM-191Tに合っていたと言えます。
そこでアンプをLuxManのセパレート、C600f M600Aに変えてみました。
音に透明感が増し、全域に渡って澄んだ音色でバランスが良くなりました。
迫力と繊細さを兼ね備えていて、新しい録音にはLuxManが合っているようです。
全体的にはLuxManが上かなという気もしますが、
ジャズ・ロックの熱い演奏を再生するには、マッキントッシュがベターです。
ついでなので普段は居間で聞いている中国製デジタルアンプで鳴らしてみました。
このスピーカーはデジタルアンプに向いているという感じがしたのです。
マッキンの上のデジタルアンプは、オモチャのようです。
値段も重量も1/200近くです。
やっぱりすごい。
変な言い方ですが、予想したように予想以上の音を出してくれました。
LuxManの音をやや硬質にしたような音で、音が薄っぺらで音場が狭い感じがしますが、
それは分かって聞いているからで、何も知らなければ普通に良い音です。
むしろ3台のアンプの中では、全域に渡って最もスピード感のある鳴り方をしています。
スピーカーの能率が高いので十分大音量が出せ、ボリュームは10時くらいでかなりの大音量です。
音の違いは、シンプルな回路のアンプと、複雑な回路を付加したアンプの違いにすぎない、とも言えます。
低音は量感が少しだけ足りず(トーンコントロールがありません)、力強さが足りません。
でも電源が安いス イッチング電源なのですから、しょうがない気がします。
良質な電源でドライブすれば、大型アンプと同じような低音が出るのではないでしょうか。
スピーカーが味の濃い音なので、デジタルアンプが薄めてくれてちょうど良いとも言えます。
デジタルアンプ+ハセヒロバックロードなら、さほどお金を掛けずに素晴らしい音が楽しめそうです。
浮いたお金で好きなCDをたくさん買えるし、高いコンサートにも行けます。
その方が音楽ファンとして幸せという気がしました。
ということで再度マッキントッシュに戻しましたが、
やはり1音1音の、そして全体の厚みと響きが心地よいです。
マッキントッシュの音を聞いた方なら分かると思いますが、
厚みのある骨太な音は、ジャズ・ロックの熱い雰囲気を再生するのに最適なのです。
最後にサラウンドのフロントスピーカーだけ、Anthony Gallo からMM-191Tに変えてみました。
やはりクラシックを聴く場合はサラウンドが良いと思いました。
フロントだけスピーカーが変わってもさほど不自然ではなく、
Audio Nirvanaの特徴である、楽器の明瞭な鳴り方が楽しめます。
マアこのスピーカーの欠点といえば、ここまで書いた印象の逆で、
音楽に癒しを求める方には全く向いていないことでしょう。
音の柔らかな膨らみはありません。
高域のレベルが高くフラットではないのですが、決して誇張された感じにはならず、
どんな楽器を鳴らしてもリアルで、生で聴いている気にさせてくれます。
しかしその気になって聞かないと、かなりウルサイと思います。
誤解のないように念のため書いておきますが、
この特質はAudio Nirvanaのユニットの性格であり、MM-191Tの性格ではありません。
調整として重量を増やすと効果がありそうです。
ホーン開口部の背後にスペースがあり、鉛サンドを詰めると良さそうですが、
そうすると動かすことができなくなりそうです。
また普段間接音の多い音を聞いているので、もう少し響きを増やしたい気がします。
同じAudio Nirvanaの小型ユニットでリアを作り、サラウンドにしたらすごいだろうと思いますが、
そこまでやることはできないだろうなあ・・・。
側板、フロントバッフルを響きの美しい板に交換し、
塗装するとまた変わるかもしれません。
長谷川様、すばらしいスピーカーありがとうございました。
今後もよろしくお願い致します。