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WCW-WE755Aの1号機が15年ぶりに里帰り

コンクリート製バックロードホーン、WCW-200に本物のWE755Aを入れた、元祖WCW-WE755Aが化粧直しのため、嫁入り先の蓼科高原から15年ぶりに里帰りしています。

ユニットを外して箱を仕上げ直し、外観デザインも改造させて頂きますが、その前に折角の機会なのでレプリカユニットを入れた現状のWCW-WE755Aと聴き比べしてみました。結果、改めて本家本元の755Aの凄さを実感しました。

昔、MJ無線と実験誌の記事で、評論家による多くのビンテージユニットを解説する連載がありましたが、その最終回でこのWE755Aを取り上げ、その結びの文が「この755Aは今まで紹介してきたどのユニットとも大きくかけ離れた優れた音質で、それらの位置する峰々とは違う、一段と高くそびえる別峰の頂上に位置するユニットです」という風に書かれていたのをよく覚えていますが、正に的確な表現だと思います。

音の感想を一口に言うと「音楽を芸術的に鳴らしてくれる、これ自体が芸術品のような」ユニットです。
コーン紙の質によるものか?アルニコマグネットやボイスコイル、エッジなどの微妙なバランスによるものなのか?何がどう違うのか解りませんが、本当に心をうっとりさせてくれる不思議な力を持っています。
市場でペア60万、70万円もするのも理解できます。
現代の技術をしてもこれを超える音質を作れないようです。

試聴で良く使う、クリスティ―ナ&ローラーの聴き慣れたチェロとバイオリン「シティ・オブ・ドリーム」で、その感動的な演奏で夢の世界に導かれ、ちあきなおみの「黄昏のビギン」の、この曲独自の静寂なムードに引きずり込まれる。何ともムード満点の演奏を楽しめます。演奏に潮の満ち引きが感じられ、押して来るかと思えば、感情控えめに。でも押すべきところで盛り上げる。
まるでユニット自体が感情を持っているような錯覚に陥りますが、ようは生で聴いたときの演奏により近い演奏再生してくれるということなのでしょうね。

ジャズのパーカッションパートで、ウインドチャイムの音さえまでも芸術的に再生してくれて耳に何とも気持ち良いです。

エージング時間で雲泥の差があることを考慮しなければなりませんが、全体にレプリカモデルの方が能率高めで明快な音質ですが、人の感情でしか判断できない「ムード、雰囲気」を伴う音楽で再生してくれる、という意味で本物は凄いと感じました。

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